Rupert Murdoch & FOX News / FOXニューズでイラク戦争を操っ…
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このブログでも以前AFI(アメリカ映画協会)のアメリカ映画史上の作品ベスト100の10年ぶりの改訂をお伝えしました。1位はこれまで通りオーソン・ウエルズ監督・主演の「市民ケーン」です。世界最高の映画と讃えられているこの映画、実は公開当時は批評で叩かれ、興行的には失敗し、アカデミー賞も獲っていないのです。なぜなら、当時の新聞王ランドルフ・ハーストの傲慢で寂しい人生を揶揄した内容なので、ハーストのメディア操作によって潰されたからです。
20世紀初頭、ハーストはアメリカ中の新聞を買収し、ウソと誇張だらけの煽情的な報道で大衆を操った。中でもスペイン軍によるアメリカ婦人暴行事件をデッチ上げた時は、アメリカ人の反スペイン感情を煽って西米戦争にまで発展させている。そのハーストを世界規模に拡大したのが、評価額680億ドルと言われるメディア・コングロマリット、ニューズ・コープの総帥ルパート・マードックなのです。
マードックはオーストラリアに生まれ、ある地方紙を買い取ってから、下品な芸能記事と保守的な論調で売上を伸ばし、その利益でオーストラリアのメディアの大半を買い占めた。次の標的はイギリス。夕刊紙「サン」には毎号カラーでヌードを掲載させ、紳士淑女のひんしゅくを買いながらも労働者階級の人気を得た。一般紙「タイムズ」では82年のサッチャー政権によるフォークランド戦争を絶賛して愛国者を喜ばせ、リベラルで反戦的なライバル紙「ガーディアン」紙を圧倒。豪・英のメディアを支配するニューズ・コープを確立した。

そしてアメリカ進出。まずニューヨークの老舗ローカル新聞「NYポスト」紙に買収をかけた。反骨精神が売り物だった「NYポスト」は反発したが、マードックは「貴紙の伝統は守る」と約束した。買収すると、マードックは約束をあっさり破り、下品な芸能ゴシップと権力ベッタリの記事で、180度違う新聞にしてしまった。
そればかりかマードックは映画会社ワーナー・ブラザーズを安く買収するために、「NYポスト」を使ってワーナーのスキャンダルを書き立てて同社の評価額を下げようとした。結局ワーナーを買えなかったマードックは代わりに、20世紀FOXを手に入れた。
90年代、マードックはニュース専門ケーブルTV局FOXニューズを立ち上げた。CEOにはレーガン政権のメディア担当官ロジャー・アイルズ。メディアによる大衆操作の専門家で「共和党のゲッペルス」の異名を持つ。彼はレーガン大統領時代の87年に放送における公正原則が撤廃されたことを利用して、FOXニューズを徹底的な共和党プロパガンダ放送に育てた。
FOXニューズの売り文句は「公正で公平」。うちはリベラル偏向の三大ネットワークや大新聞とは違いますというわけだが、実際はFOXほど偏光した報道はなかった!モニカ・ルインスキー事件では連日連夜クリントン大統領を攻撃し、FOXニューズは2000年の大統領選挙ではブッシュの遊説だけを放送した。2001年からは、ブッシュのイラク攻撃案を絶賛する戦意高揚報道でアメリカ人を喜ばせ、1日400万人の視聴者を集めて老舗のCNN(370万人)に圧勝した。

2003年10月の調査によると、FOXニューズの視聴者で「イラクは大量破壊兵器を持っていた」と信じている人は他のニュースを観ている人に比べて3倍、「イラクは9.11テロの黒幕だった」と信じている人は4倍もいた。アメリカ人の大半を占める「新聞を読まない大衆」をFOXは巧みに間違った方向に誘導した。後にマードックはインタビューで「イラク戦争正当化に向けて世論を操作しようとした」事実を認めている。
21世紀ニューズ・コープはニューメディアに戦線を拡大。英・豪・米の衛星TVネットワークの征服に続き、アジア全域をカバーする衛星放送スターTVで、人口10億の中国に乗り込んだ。インターネットすらマードックからは逃げられない。2006年、会員2億人の世界最大のSNSマイ・スペースを買収した。そしてすぐにマイ・スペース上の広告の権利をグーグルに9億ドルで売却して、マイ・スペースへの投資を即座に回収した。
マードックの次のターゲットは経済だ。2007年、彼はアメリカ最大の経済紙「ウォールッストリート・ジャーナル」の発行元ダウ・ジョーンズに50億ドルで買収を仕掛けた。ダウ・ジョーンズを100年も所有してきたバンクロフト家は、編集権を保持させろと要求しているが、マードックは「50億ドルと編集権両方よこせなんて欲張りもいいところだ」と激怒。今までのやり方のように、独裁的介入で天下の「ウォールストリート・ジャーナル」を操作して、世界の株式市場までコントロールしようとしているのかも知れない。
ブレアもブッシュもニューズ・コープには頭が上がらない。労働党のブレアが右傾化したのはマードックの影響が大きいと言われている。ブレアは首相時代にFOXチャンネルのアニメ「シンプソンズ」で本人の声優をやらされたほど。「シンプソンズ」にはマードック本人も特別出演して「私が世界の暴君だ!」と叫んだ。確信犯だというのがもっぱらの噂だ。
「007トゥモロー・ネバー・ダイ」に登場する、中国での視聴者を獲得する為に、中国とイギリスを戦争させようとするメディア王は、マードックがモデルだ。マードックは中国進出時に40歳も年下の中国人女性と結婚して、70歳を過ぎて子供を作った。世界を征服する過程で各地の美女を妻に迎えていったアレキサンダー大王やジンギス・カーンのようだ。彼らは世界征服の志半ばにして死んだが、マードックは「あと20年は引退しない」と宣言している。彼は本気だ。何しろ彼の母親は98歳まで生きていますから。